知っていますか?富山県1/3市町が消滅可能性都市/関係人口取り組み事例

     

富山県は、保守系で自民党王国。

雪国独特の粘り強いパワーを秘めており、

スタンドプレーを好まず、地域リーダー(行政、農協、区長)に従う人が多い。

そして、田舎に行けば行くほど地域リーダーが何でもしてくれるという発想

地域自らが独立採算で事を起こそうとするのは、少ない。

ある程度人口がいて、地域選出の強い議員がいれば、

行政支援が得られる方程式がなりたっている。

しかし、同地区選出の議員不在で

高齢化率50%を超える限界集落には支援は少なく、

そこに住む地域住民も

「何もせず、このままひっそりと終えんを迎えたい」

と半分諦めたモチベーションであったりする場合もある。

何もせず、廃村、消滅していくのは、富山県の魅力は小さな

中山間地域にあり、その財産・宝を埋もれさせてしまうには、

1億円の宝くじを換金せずにごみで焼いてしまうことと同じである。

中山間地域に地元の若い人々が不在になり、

そんな場所にいきなり移住定住を持ちかけても、

なかなか移住には結びつかない。

故に、内閣府や国土交通省では、

移住定住を伸ばすことうよりも、

まずは、関係人口づくりについて注目しだしている。

(関係人口については、巻末と下記blogを参考)

関係人口をつくる=小田切×指出(ソトコト編集長)/現場での取り組み事例

 

そこで本blogでは、富山県で地域活性化の取り組みの切り口として

消滅可能性都市で50%以上と格付けされた

富山県5市町(朝日町・南砺市・氷見市・小矢部市・上市町)の

関係人口の取り組みについて と

著者が携わった

行政支援を受けない地域から発信している関係人口の取り組みについて

まとめてみた。

 

消滅可能性都市・富山県5市町

2014年日本創成会議が消滅可能性都市として、

2010年から2040年までの間に20~39歳の女性の人口が5割以下に

減少すると推計される自治体を消滅可能性都市として指摘した。(増田レポート)

発表された消滅可能性都市の中で、

富山県から、15都市中5都市が選ばれた。

朝日町-65.8%、南砺市ー61.0%、氷見市ー57.2%、小矢部市-54.8%、上市町ー51.9%

 

20~39歳女性人口数(人)

人口増減比率(%)

2010年 2040年
朝日町 1,109 379 -65.8
南砺市 5,200 2,026 -61.0
氷見市 4,824

2,064

-57.2
小矢部市 3,137 1,418 -54.8
上市町 2,222 1,068 -51.9

 

 

朝日町や南都市では、自治体では

増田レポート以前からも

行政指導のもと、積極的に関係人口構築事業を行われている。

 

明/朝日町の取り組み 

2018年11月の広報あさひでは、最新の朝日町の関係人口づくりについて、広報12ページ使って、

これまでの取り組みを報告している。

広報あさひ 2018年11月号 より
 広報あさひ 総合ページ ここから2018年11月のPDFを開示

朝日町では、インターンシップや大学プログラム等で朝日町を知ってもらっている。

その後、朝日町発祥の全国ビーチボール大会や昭和女子大学生による海の家などで、

関係人口を創出しようとしている。

移住者として、地域おこし協力隊2名と、民間人1名の紹介がなされていた。

移住者として、OB地域おこし協力隊ではなく、現役地域おこし協力隊を出すことに?疑問を感じる。

朝日町は、富山県の最東部であり大きな産業がないため

生業、仕事場づくりが課題のように感じる人も多いが

朝日町には、グリーンツーリズムとやま長崎喜一理事長の夢想塾があったり、

ささ郷ほたる交流施設での体験イベントなど魅力的なものが存在している。

 

明/南砺市の取り組み

 南砺市は、富山県内でも人口減少が著しい場所であり、

2004年(平成16年)以前から利賀では、

交流人口・関係人口に取り組む事業が行われてきた。

 旧利賀村地区では、1972年から

姉妹都市である東京都武蔵野市の子供や教員を

受け入れる仕組みが続けられている。

 利賀に活動拠点をおく劇団SCOTは、

1976年から利賀に移住し、多国籍な人々が地域に根付いているなど、

多種多様な受入れが行われてきている。

 TOGA国際芸術村を核としたクリエイティブビレッジ構想

 

 

総務省各戸『「関係人口」創出事業』モデル事業

2018年4月 総務省では、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、

地域や地域の人々と多様に関わる者である「関係人口」に着目し、

地域外からの交流の入り口を増やすことが必要。

(これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会)

 地域との関わりを持つ者に対する地域づくりに関わる機会の提供や

地域課題の解決等に意欲を持つ地域外の者との

協働実践活動等に取り組む地方公共団体を支援する

モデル事業の全国30自治体を採択した。

富山県では、南砺市が採択された。

南砺市での関係人口の取り組みの1つとして応援市民制度がある。

この制度は、WEBでも募集が可能で、約500名が加入している。

関係人口を増やす!? フェロー活動でわかった創出プロセス ──富山県南砺市でのフェロー活動報告

応援市民制度2.0 富山県南砺市

 

関係人口とは?

関係人口とは、言葉のとおり『地域に関わってくれる人口』のこと。

自分でお気に入りの地域に週末ごとに通ってくれたり、

頻繁に通わなくても何らかの形でその地域を応援してくれるような人たち」

(ソトコト編集長 指出一正氏『ぼくらは地方で幸せを見つける』)。

関係人口=「定住人口」でも「交流人口」でのない人々

・「いくつかの地域ではそうした関係人口が目に見えて増えている」(同上書)

・ただし、「交流人口」概念は本来はもっと多義的なもの⇒関係人口=再定義された「交流人口」

 

 

暗/氷見市・小矢部市・上市町の取り組み

上記のように、人口増減比率60%を超えた朝日町や南砺市では、

積極的な取り組みが行われだした。

しかし、人口増減比率50以上である氷見市・小矢部市・上市町に関しては、

まだ切羽詰まった危機感を感じないように感じる。

これら、2市1町では、2015年に国から出された宿題

「まち・ひと・しごと総合戦略」を策定した。

現在2市1町において総合戦略の計画期間中であるが、

氷見市においては、月次の事業報告を唱っていたが、なされていない。
また、年次報告においても、ネット上での情報公開がされていない(氷見市担当者は期日を公言せず!)

小矢部市は、総合戦略の報告がネット上でも公開(2年前のもの、29年度は1週間以内に公開予定)され、

南砺市は、本日中に公開予定。

電話確認の時に、総合戦略の直接担当者ではなかったものの、

電話応対した市職員が、自分たちの市の総合戦略についての認知度、

電話接客応対について評価すると、氷見市が一番最低だと感じた。

朝日町>南砺市>小矢部市>上市町>氷見市

上記5市町の「まち・ひと・しごと総合戦略」については、後日情報公開予定。

 

私が一昨年うけた全国地域リーダー養成塾の中でも、このまち・ひと・しごと創生総合戦略を

机上理論で無駄だ! 

と 批判的な講師は、少なくなかった。

講師の人々の説明では、

二番煎じ、三番煎じの戦略は、無駄。

地域にいながら、地域を見ないでどこかの戦略を複写した総合戦略は、

地域に浸透せず、行政の自己満足に終わっているとの説明であった。

上記5市町が机上理論なのかは、別途blogで、じっくり検証してゆきたい。

 

朝日町と氷見市での関係人口の取り組みについて比較した場合、

氷見市を都会の人々が知るというところでは、

氷見市が委託している氷見市IJU応援センターが主催して、

東京でLittle Himi というイベントを

地域おこし協力隊や移住者若者中心行なわれている。

 

しかし、氷見市では、朝日町や南砺市のように地域・自治組織等が

都会の人々を地域での受け皿となるような

関わる仕組みづくりは、まだ構築されていない。

 

関わる仕組みづくりは、構築されていないが、暮らす仕組みづくりは、

氷見市IJU応援センターが窓口となって徐々にであるが、街中を中心に作られている。

しかし、中山間地域への移住は少なく、また中山間地域に移住しても1~3年程度で転居してしまう場合も多く

定住につながっていくのかは、今後地域との密接な関係構築にかかっている。

 

氷見市の各区長においては、関係人口について、悲観的というより、提案者との過去の確執が根に持っていたり、

新しい革新的な動きに面倒を示す方々も少なくない。

行政職員も熱が強くないものもいれば、各地域の区長に関係人口の必要性を伝えるというより、事務連絡程度でしか相談せず、

他人事としか感じていない・淡々とこなしている傾向も少なくない。

 

 

行政支援を受けない地域から発信している関係人口の取り組み

関係人口を構築すること、大規模なら行政支援も必要だが、

私自身が関わってきた、大長谷地区や、氷見市の中山間地域での取り組みは、

本当に小さな活動であり、どこの地域でもすぐにでも真似ができるモデル的なものである。

以下に、2つの地域での関係人口づくりについて述べる。

 

1)氷見市・八代環境パトロール隊

氷見市内では、行政支援がなくても、地域が自立で行っている活動として、

八代環境パトロール隊とNICEとの共同活動に私自身は注目している。

若者の魅力いっぱい!地域にも喜ばれる国際NGO NICEと氷見市八代地区の連携
/blog/17058

NICEの若者と八代環境パトロール隊による清掃活動

 

2)40世帯・陸の孤島大長谷での関係人口・ながたん農援隊

関係人口という言葉を使っていなかったが、2010年富山市八尾町大長谷地域において、

『大長谷ファン』に好きなときに来てもらい、地域の農林業や自然、伝承文化を守る活動に参加してもらおうと、

ボランティア組織『ながたん農援隊』を結成した。

結成当時のメンバーは、遠く北海道から関西まで約130名が登録。

農援隊メンバーは、野菜や畑で作っている山菜の栽培や除草や収穫、天然キノコの収穫や原木キノコの殖菌等、

年間を通じて様々な農業に携わることが出来る。

また、白木峰や21世紀の森など山野草の自然観察会、カンジキ作りや炭焼き、

山菜祭りやそば祭りなど地域の自然や伝承を通して地域住民との交流にも参加している。

年間費:500円(2014年)

ながたん農援隊の活動は、上記の通り、まさに関係人口の先駆け

結成4年後2014年には、内閣府農林水産省認定、北陸で初めて

ディスカバー農山漁村の宝に選定され、

保守王国富山で、行政支援飛ばして表彰されたことで。

県内関係者には、ダークホース的な扱いで話題を呼んだ。

著者は、氷見市地域おこし協力隊に赴任する前まで、

ながたん農援隊の事務及び都市住民・地域住民とのつなぎ役・連絡調整等

を中心的に行った。

全国から23地区が首相官邸で認定式/ディスカバー農山漁村(むら)の宝・ながたん農援隊

http://nagatan.info/?p=15670

2014年6月10日 首相官邸にて 

首相左側は、金沢大地の皆さん、右側はながたん農援隊
花井元自治会長、著者、塚原隆君

 

ながたん農援隊の活動動画はこちら

 

余談ですが、私自身、この頃から自分のスキルを活かして

NPO大長谷村づくり協議会のホームページのリニューアルし、

SEO対策を駆使し、山菜イタリアンやキノコイタリアンと言った

固有の地域ブランド力で全国3位にまで登り上げたり、

地域活性化動画制作や補助金事業申請広告を行い、

今の地域活動の基礎を培ってきた。(他協力隊にはない事前の強み)

 

 

氷見市・7地区8団体での関係人口・基盤づくり

著者自身、大長谷と同様な関係人口づくりを行うためのフィールドが

富山県全体の中山間地域にはあると思っている。

それを実現するために、氷見市地域おこし協力隊着任当初から、

速川地区を始め、氷見の中山間地域において、様々な地域で、地域の人々と一緒になって

関係人口づくりの基盤整備を行っている。

2015年当時は、速川地区だけであったが、

2016年は、脇之谷内集落、稲積地区

2017年は、宇波地区、粟原地区、八代地区

2018年は、上庄地区

と地域が都市農村交流、関係人口を構築しようと頑張っている地域が拡大してきている。

上記7地区で、地域おこし協力隊を必要としているのだが、残念なことに

1期~3期地域おこし協力隊の積極的な関与をしている隊員は、私1名・・・

4期地域おこし協力隊募集では、八代、稲積、粟原が応募しているので、

地域に関与・貢献してくれるような人材を切実に希望する

(人が増えることで楽にはならないが、さらに次のステップに移行が可能)

著者が関わっている氷見市都市農村交流マップ

 

稲積梅生産組合主催の梅三昧体験ツアー

 

各地域の点と点の活動についても、ゆっくりではあるが、一歩一歩前にすすめ

連携を模索中。連携については、現在年2回程度の割合で、進めている。

次回は、2019年3月6日に行う予定。

 

氷見市中山間地域活動団体初顔合わせ

2018年5月8日 平成の百姓一揆・食べる通信代表 高橋博之氏 招待! 詳細は、下記ブログ

氷見で各種団体・個人が連携・食と農漁業について語る(海も山もある食材の宝庫氷見)

/blog/16049

 

USA替え歌お披露目会で、活動報告

2018年10月25日 各団体の活動報告を行った。

 

同日、個々の地域の活動を集めた動画 

来られよ氷見 をyoutube で公開

2019年1月30日現在 再生回数13,173回

 

関係人口、都市農村交流で動き出した各種団体の詳細についてはこちらの記事を

DA PUMP/U.S.A替え歌「こられよ氷見!」婆ちゃんダンスで見たら癒し効果UP+おまけ3本お笑い動画付き
/blog/16940

 

【まとめ】

どの地域でも、事業を1つ行うことについて、シガラミや妨害、妬みは、付き物

ゼロから0.01%動かすのにも、本当に労力、忍耐は必要

ただ、0.01でも動かすときに、周囲の共感を得られる幹がしっかりしていれば、

地域も動く! けど、やっぱり大変(笑)

さらに、先日も書きましたが、高岡や富山市内に暮らす人の中には、

中山間地域排他論が未だに根強い

この人々が理解することも必要事項

中山間地域の価値・必要性を感じない人々/地域が自立する仕組みづくり

 

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