2016/06/24
地域おこし協力隊の目線で書かれた日刊ゲンダイの記事を読み、↓
42億円の税金がムダに 「地域おこし協力隊」の厳しい実状
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/183291
正直、日刊ゲンダイの言っていることも一理あります。
けど、一理だけであり、偏った見方だとも感じ、
私自身の協力隊での活動や地域側の目線での協力隊や田舎暮らしについて述べます。
【地域おこし協力隊とは】
地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度
『一般社団法人 移住・交流推進機構HP』より抜粋
【4割が定住しない】
逆にいえば、6割の人々が、何らかの形で、定住に結び付いていることは、凄いことだと思う。プロ野球選手だって、打率3割を超えるのに必死だし、プロの食品メーカーであってもヒット商品を産みだす努力は、1割にも満たないと聞いたことがある。そんな中での6割定住は、素晴らしいのではないか。
国が地域おこし協力隊という制度を行わなければ、このような廃墟が何も手当をせずに増えていく。
廃墟
人が住まなくなって風通しがされなくなると、立派な家でも室内が腐りだし廃墟になってしまう
協力隊は、基本地域の空き家に移住。5万円程度の家賃補助が可能であり、地域に概ね年間60万円の収入と空き家活用が行われる。協力隊の収入では、ありません。
協力隊なら10DKに住めたりする!☆
田舎暮らし 移住・住宅物件/空き家バンクの活用or無料物件・格安物件の探し方
/blog/253
【地方には地域おこし協力隊以上にラクに給料をもらえる職場】
協力隊の任期中に、与えられた仕事しかしなければ、ラクだろう。
3年後の起業を照準した私の場合、
農業(慣行、自然農、有機栽培)
里山ガイド(都市農村交流)
伝統文化継承(藁細工や炭焼きなど民工芸品の継承)
農家民泊(都市農村交流)
SNSプロデューサー(集客・通販できる情報発信)
と地人自身をモデルケースにして、国の補助を得なくても都会からの移住者が田舎で暮らしていける生業を行動しながら模索しており、日々本ブログで情報発信を行っている。
このように自分が3年後に何をするのか・するべきなのかが明確になってていれば、その準備と地域での活動を並行して行わなければならず、365日、昼夜を問わず、やるべきことが山積みであり、決して楽ではない。
ですから、上記のような 『楽だ』 という発言をされた協力隊員は、自分がするべきことも考えることが出来ず、行政や受け入れ団体からの指示待ちでしか動けない、から与えられた仕事しかしなく3年後のビジョンがないから楽なのであろうと推測する。
私たち地域おこし協力隊の制度は、国の税金で活動させて頂いているという感謝の気持ちに欠如して恥ずかしい限りだと思う。
最近の若者の傾向は、言われたことを卒なくこなすことは出来るが、突飛押しもない発想や大失敗がなく、独自性や競争意欲に欠けているようにも感じる。
独自性や競争意欲は、『自らが仕事を作る』 ことを産みだす。若者の発想の中には、社会人としての失敗や挫折などの経験値が乏しく、自らの活動・行動が、
楽しいだけで終わってしまい、
シビアな原価管理や安全管理や面倒なことから遠ざけている、やっていない、面倒臭がっている、傾向があるように感じる。
素人作業でも構わないがプロ意識が少なすぎて、お祭り騒ぎは大好きだが、自ら立ち上げた事業でもすぐに飽きてしまい、継続性に欠ける。
繰り返しになるが、隊員1人1人が、苦労を買って出るということを心がけなければ、楽な職場で3年間終わってしまうし、そのような環境を作って、協力隊員を助言することが出来ない行政と受け入れ地域にも責任がある。
昔堅気の職人はプロの技
下積み経験がものを言うが、若者は、下積み経験をしたがらないことや遠ざかっている。華やかに目立ちたいという気持ちや他の協力隊の活動からの焦りで目立ちたいというプレッシャーもあるが、協力隊の活動として、3年間地域の下積みで、黙々と与えられた仕事をこなし、地域の人々から信頼され頼りにされるようなことを極めるのもありだと思う。
【基本的に”お客さま”】
日刊ゲンダイで、協力隊員自らが『お客さま』という意識で3年間田舎で暮らしてきたということは、悲しすぎる。
客扱いだから、地域の人々も真剣に相談出来ないし、頼りにされない。そんな協力隊員では、地域の本質の課題や問題にたどり着くことも出来ないだろう。
協力隊隊員は、自らが一生懸命していることと、その一生懸命さが地域のための必要なことの温度差がありすぎると、いつまでたってもお客さま扱いで任期を終わってしまうだろう。
地域に溶け込むには、地域の人々以上に仕事をするか、地域の人々がやりたくても出来なかったことを自らが進んで行うくらいの気構えがないと頼りにもされない。私自身、1年間がむしゃらにやってきたことで、2年目の今、地域の役員(体育委員)や営農組合に勧誘して頂けたし、農地や農業機械の利用も認められた。
お客という立場でぬるま湯に浸かっている隊員は、地域のことをもっと意識して汗水働き、地域の人々と一緒に新たな風を吹かせる気構えや期待を地域の人々から抱けるよう、自分自身を戒めてほしい。
地域の人々は、自分たちが見える形の努力は評価するが、自分たちが見えない形の努力は評価されない。
しかし、見える形の努力だけではなく、見えない形の努力も惜しまなければならない。
私の場合、自由に使える時間(業務以外)は、自らが3年後の起業のための準備時間(地域に見えない努力)と、今地域で抱えている課題にも着手(地域に見える努力)している。
見える努力と見えない努力の2つをこなし、1日1日がサラリーマン時代以上に必死であり、日々の生活に追われて、客人扱いではなく、地域に定住してもらいたいような人物になるよう自らを模索・努力しているのである。
田舎コミュニケーション・(地域に感謝)副業草刈り!若者の失敗に陥りやすい事例
/blog/864
【「いざ本気で職を探そう」っていつなの?】
「いざ、本気で職を探そうと思ったら心が折れました」って、いつ職を探そうとしていたの?と尋ねたくなる。
協力隊着任時には、自らが、起業型なのか、それとも地方の仕事を従事するのかくらい方向性をもって3年後を目指すべきではないのではないかと思う。
何となく、そのうち方向性が見えてくるという考え方もあるが、転換出来ずにいると、地域になじむことが出来ず、離れてしまうだろう。
起業をしなくても、田舎には賃金は安いが、肉体労働での雇用は、ある。昨今の若者は、学生時代から野外での活動が希薄になっているように感じる。だからガテン系・肉体労働離れが著しくなっている。
肉体労働が出来ないから、楽な事務仕事を希望している・高額な給与を期待し副業を考えていないばかりだから仕事がないと言っているのではなかろうか。
昔のお百姓さんは、朝早くから深夜近くまで働いていた。8時17時のような簡単な事務仕事を期待するほうがおかしいし、1次産業2次産業に目をむけるべきだと思う。
そして、上記でも述べたように、着任当初から、定住を意識し、退任後の仕事探しをしていれば、心が折れるどころか、行政支援や地域支援もあり、様々な人たちとの人脈も作れる協力隊といいう制度は、何ら支援をされず田舎に移住する人々よりも特別扱いされていることに感謝しなければならない。
けれど、隊員の中には、自らの権利や主張ばかりを意識し、税金で私たちの活動がされていることの大切さに欠如している。
2地域定住や田舎暮らしのボランティア経験がないまま地域おこし協力隊になったり、過去ある程度の実績つまないまま田舎暮らしに突入するような人の中には、いつも道半ばで投げ出している人生だったり、気軽な転職の1つとして協力隊に赴任している輩に日刊ゲンダイの記者が取材をしたことを、多くの協力隊が同じような輩扱いにされてしまうようにも感じる。
大学生の就職活動や一般企業を退職され失業保険(概ね3カ月)で仕事を必死に探す人々に比べたら、3年間も、その赴任した地域で仕事探しが出来る地域おこし協力隊の制度は、ありがたいし、国の税金で地域に貢献しなければならないことをもっと認識して、甘えないでほしい
日本・富山で初!?獅子舞モニタリングツアー・参加者(シニア・外国人)も地域も盛り上がり(●^O^●) /blog/11467
筆者自身、氷見市で半年間の下積み(大長谷時代からだと6年間)があったからこそ出来る都市農村交流イベント企画・実行者。
田舎を知らずいきなり入って3年間で実績をあげるには、相当の覚悟と努力と年の差を超えた周囲の理解が必要である。
【自然豊かで人間らしい生活】
『“汽車”は1時間に1本しかない、都市に出るのに車で3時間もかかる、シネコンがない、テレビが映らない』で何が悪い!
そもそも上記のような環境かどうか事前に理解して入隊してきているのに、都会の生活を田舎に持ち込むほうが、悪いのではないか。
汽車がなくても、地域の絆で乗合で移動方法や、自動車での移動がある。
シネコンがなくても、四季折々の自然を見ていれば感動出来る。
テレビがなくても、地域行事や寄り合いなどで、人々のコミュニケーションや娯楽が根付いている。
郷に入れば郷に従え 田舎暮らしの慣習を受け入れられない・都会以上に年功序列や典型的な日本型企業倫理が理解出来ない、または順応性がないのならば、初めから協力隊に着任することをお勧めしない。
誰も耕さなくなった棚田
【田舎独特の風習】
昔は、1次産業2次産業で6割をしめていた時代。どこもかしこも田舎だらけ。そんな風習が各地で残っていたのに、良くも悪くも風習を亡くしていった高度成長期。
風習をしらないものが、偉そうに、風習を受け入れることどころか、受け入れることを妥協ということ自体が間違っている。
風習のある田舎に来たのは、協力隊員であり、風習のない自分たちの生活を辱めるべきであり、妥協という気構えは排除するべきである。
地域団結・水路掃除でコミュニケーション 【米づくりの手順】
/blog/11771
【42億円がムダ】
106億円の予算のうち、4割が都会に戻るという資産から、42億円がムダと、日刊ゲンダイは主張しているようだが、逆を言えば、64億円が有効に使われたということになる。
また、6割の人々のうち、その地域で1人1億円の産業が産まれれば、成功となりうるのではないだろうか。
ただ、全国平均で均して6割という計算よりも、各地域地域において、定住率が極端に違ってくる。10割に近い地方団体もあれば、1割にも満たない定住率の地方団体もある。
それらは、単に仕事がないと片付けるのではなく、受け入れる行政や赴任した団体や地域にも問題がある。
【最後に】
平成26年から私自身、全国各地の地域おこしの現場を見たり交流を深めてきた。新潟県十日町、岐阜県石徹白、徳島県神山町、岡山県英田上山町、鳥取県の学生人材バンク などの地域おこし協力隊やそのサポート団体は、その地域リーダーが、協力隊たちの3年後のビジョンが明確であり、素晴らしかった。
新潟県十日町で活躍の地域おこし協力隊リーダー 多田朋孔さん
徳島県神山町での移住定住のリーダー 祁答院 弘智さんと 神山アートインレジデンス会長 杉本哲男さん
岡山県英田上山棚田団の皆さん
2014年ツーリズムEXPOからの知り合い 中川玄洋さん(学生人材バンク代表)
平成28年2月15日【禊川大学】地域おこし協力隊を対象としたキャリアデザイン講座にて
岐阜県石徹白地区の平井さん(NPO地域再生機構副理事長 石徹白地区地域づくり協議会事務局)
総務省では、大枠の予算は付けるが、地域地域の特性によって、協力隊の業務を施策しているのは、地方公共団体や受け入れ団体であり、その施策評価は、議会で承認・可決されている。
議員は、私たち1人1人が選んだ代表者であり、結局のところ、受け入れる地域の1人1人の意識を高くするために他の地域で行われている活動を学んだり、協力隊隊員の個人の意識を赴任してからも教育や研修をするべきだと思う。
地域住民や協力隊員の教育・研修が多くの場合なされておらず、今ようやく受入行政団体の研修等が始まったばかりである。
実のある取り組みの制度が出来る仕組みづくりを作れば、日本全国各地、もっと楽しく面白い地方が創生出来てくると思う。
ながながと長文羅列しましたが、ここまで既読ありがとうございました。