2019/02/17
氷見市は、富山新聞の購読者数が多く、氷見の話題も多い。
昨年富山新聞社の氷見総局の記者さんが変わった。
個人的には、新しい記者さんのこれまでの記事の切り口、紙面の大きさに共感を得られる。
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2019年2月16日の富山新聞での世界農業遺産認定とIJUセンター―について
記述された市の報道発表と、私の知る限りの中山間地域に暮らす市民の声を記述する
世界農業遺産認定について
農業と漁業の融合
氷見湾での漁は、越中式定置網で行われている。
かつては、網を稲藁や綿で作られていたと聞いている。
稲藁や綿の縄は、自然素材で、そのまま仕様すると海水によって劣化する。
先人たちは、千恵を絞り自然素材の縄に柿渋でコーティングし、強度を上げてきた。
自然素材の為、しばらくたつと弱くなるので、網を切って海に沈める。
それが海の中で分解し、有機物となって小魚を育てる藻場や魚のエサ場をつくり出していた。
また、網の縄を編むのは、農家の仕事。網を農村で編み、漁業で使う循環システムが
かつてはあったが、現在はナイロン性の網であるため、
循環システムは機能されていなくて残念だということを、
氷見で生まれ育ったった氷見市民の先輩から聞いたことがある。
かつてのような全てとは、いかないが、まずは一部からでも
昔のように藁や綿での網を一部利用することで、農業と漁業が一体化に近づけることが可能になるし
農業従事者に稲藁や綿の耕作に補助金・助成金をつけることで市民にも還元できる循環システムが構築される。
氷見市内では、床鍋ではわら細工で縄を編む技術が既存し、
地域おこし協力隊員が現在綿栽培に取り組んでいる。
床鍋の縄縫い 毎年10km近い縄を編んで高岡御車山に奉納している
林業と漁業の融合
「森は海の恋人」 東北・宮城県気仙沼市の漁師である畠山重篤氏は、牡蠣漁師。
畠山氏は、川が運ぶ森の養分がカキの餌となる植物プランクトンを育んでいることに着目し
川の流域に暮らす人々と、価値観を共有しなければ、きれいな海は帰ってこないことを悟る。
そこで畠山氏らは、大川上流の室根山に自然界の母である落葉広葉樹の森林保全活動を行っている。
氷見漁業組合では、魚付き保安林として66ヘクタールを管理しているが、
氷見市全体の山林13,485ヘクタールのわずか0.5%にしか満たない。
氷見市の山は五箇山や立山地域と比べると標高200m程度のなだらかな山が多く整備し易く
炭焼きや原木シイタケ栽培が各地域で行われて、森の循環が行われていた。
現在、原木シイタケ栽培農家は、3名以下であり、
炭焼き職人は、皆さん80歳以上の高齢の為近年行われていない現状である。
椎茸のほだ木としては、樹齢25~30年のコナラやクヌギなどの落葉樹が適しているが、
林業家の高齢化、担い手不足、未継承による不在地主の増加などにより
森林整備が滞っている現状であると聞いている。
コナラの伐採状況 林道付近で行う
落葉樹は、椎茸栽培や炭焼き、薪ストーブの原料となるが、
民間での伐採が滞ってる。
適切な伐採は、イノシシ被害防除にもつながるが、林業家離れにより、
深刻な問題だ。
IJU応援センター移住達成実績
富山新聞記事では、IJU応援センターでの移住達成実績として
2016年度は11人、17年度は18人、18年度は1月現在で20人らしい。
私としては、個人的には健闘して年々数が増えていることは評価したい。
ただ、市の目標として35人/年度 で設定して目標達成されていないことは残念である。
私の知っている中山間地域の人々にIJU応援センターとの連携をヒアリングしてみたが、
積極的な関係性(体験交流イベント・ツアーなど)をもった団体は、聞かない。
このことから、現在IJU応援センターが紹介・斡旋する住居場所は、街中中心だと推測出来る。
私自身は、いきなり移住を斡旋・推奨・紹介をするよりも、
まずは、お試し体験=関係人口の構築が必要だと考える。
知っていますか?富山県1/3市町が消滅可能性都市/関係人口取り組み事例
/blog/17672
氷見市は、都会の若者が希望する田舎暮らしで、極度に不便ではなく、適度な田舎具合で
良好な空き家があるにも関わらず、IJU応援センターとの親密な関係構築がなされていないため
空き家バンクの登録件数が少ない。
2019年4月には、新たなプロポーザル方式で運営者を決定するらしいが、
中山間地域にも足蹴く通いながら、地域の人々と深く連携をとれる運営者を希望したい。
空き家紹介をする地域の人々
【まとめ】
私自身は、氷見市の街中のことは、ほとんど知らない。
ただ、携わっている中山間地域の人々の声として、市職員が、地域と密接な関係かと尋ねられると
西日本での地域活性化先駆的地域を見ていると、まだまだ伸びしろがあるように感じる。
氷見市に限らず中山間地域に入り込むことは、街中の人々にとって、
そうとう難易度が高い!
実際にそこで暮らす人々でも土地や水をめぐって、隣近所で争いがある場合もある。
また、かつての農地や山林所有者が未だに威厳をかざし、新しいことを始めるにあたって
自らの小さな損失と大きな地域の利益の物差しを計らしても、
自らの小さな損失に目くじらをたてる場合がある。
これらを改善するには、他県で行われている事業や活動を知ることに他ならないが、
氷見市では、この知る教育がまだまだそこに暮らす住民1人1人に浸透されていない。
3月6日、脇之谷内里山づくり実行委員会では、法政大学図司先生を招致し、
勉強会を行います。
仏生寺地区やこれまで連携を行ってきた氷見市の里山関係の人を優先に
勉強会を開催しますが、興味のある方、是非ご連絡ください。
「農村再生と関係人口」のための研究会
開催日 平成31年3月6日(水)
会場 仏生寺公民館(氷見市惣領1927_ひみラボ水族館隣)
参加対象 地域活性化に携わっている方
地域おこし協力隊、行政関係など
申込締切 3月1日(金)
プログラム
- 現地点検
- 時間 14時~17時
- 場所 脇之谷内集落点検
- 内容
- 参加費 無料
-
研究会
時間 19時~20時30分
講師 法政大学現代福祉学部
教授 図司直也
- 内容
①脇之谷内での取り組み
②講演「農村再生と関係人口」
③質疑応答
- 参加料 無料
-
懇親会
- 研究会終了後、懇親会を1時間程度開催します
- 時間 20時45分~22時
- 場所 ふる里膳新(氷見市仏生寺5287)
- 参加費 2500円
【問い合わせ】
脇之谷内里山づくり実行委員会 事務局 稲垣信志 090-1851-8441
※宿・帰路の交通が必要な方、ご相談ください
【後援】
氷見市 、 富山新聞社
図司直也氏プロフィール
昭和50年生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。農学博士。㈶日本農業研究所研究員、法政大学現代福祉学部専任講師、准教授を得て、平成28年より教授。専門分野は農山村政策論、地域資源管理論
著者に、『地域サポート人材による農山村再生』(平成26年,筑波書房)、『田園回帰の過去・現在・未来』(平成28年,共著,農山漁村文化協会)、他
地域振興・人材育成に関するアドバイザー等を歴任