2018/12/07
2021年8月
都会で暮らすと、道路、電気、ガス、水道管、下水道管などの公共施設は半永久的だと考えている人は少なくないと思うが、
物には、全て耐用年数がある。
今話題になっている水道事業の民営化、
数年前トンネル崩壊事故や橋梁など公共事業の在り方と通じるある。
そして、同じように中山間地域でも農業設備
(例えば、ビニールハウスやコンバイン)の耐用年数
がじわじわと地域の問題事項になりつつ、実際に私自身も先日屋根の修繕を行った。
今回は、指導者(親方)がいたが、親方1名では修繕出来ず、また複数人が必要だが、
地域には、若い担い手が不足していた。
親方から
「ビニールハウス(鉄骨ハウス)の屋根修繕をやりたくても、
人が集められない、
人を集めることが出来るか?」
と言うのが、親方の一番のネックだった。
私自身の周りでは、若い担い手が何名か、懸命な思いで農業での起業を目指し、日々努力している。
彼らは、若い力と俊敏性という武器があるが、百商としての技術や年配者の知恵と交流が不足していた。
早速、何名かに相談し、快く屋根修理に協力すると言ってくれて、親方の悩みを解消出来た。
今回、本blogにおいて、
私自身長年土木工事のエンジニアとして公共事業に携わってきたことでの経年劣化・耐用年数の問題を取り上げるとともに、
社会では問題視されにくい小規模農家や中山間地域での農村設備の維持管理について述べておきたい。
【改正水道法・水道事業民営化】
2018年国会で水道事業を「民営化」しやすくする改正水道法が
12月6日の衆院本会議で採決され、賛成多数で可決、成立した。
本当に民営化になった場合、企業は営利目的であり費用対効果を考慮するだろう。
その場合、人口密度の低い田舎・里山で配管入れ替えは、行われるのであろうか疑問だである。
例えば、
都会なら1000人で均等割りであったのが、里山などの過疎地では、数人から数十人に負担がかかる。
このような場合、使用者の平等を考えると里山で水道を使う場合、料金が都会と一律になるのであろうか不安が残る。
https://jousui.jp/blog/2015/04/post-142.html 引用
皆さんの周りでもこのような水道管の水を飲んでいるかもしれません。
ただ、水道は、常に水の流れが止まっていないので気になりませんが、時折水道管工事があった場合、
赤錆の水が出るのは、工事に伴い水道管の水が停止するために、この赤錆が一気に流れ出しているからだと思われます。
【ライフラインの経年劣化】
水道だけではなく、最近話題になっていないが、橋梁やトンネル、道路の老朽化も深刻な問題である。
世間では半永久的なものだと思われている人も少なくないが、実際には
大蔵省令15号の記述で耐用年数は、
道路橋梁は60年、トンネルは30年、舗装道路は15年、コンクリート製護岸は50年、 ダムは50年などと示されている。
富山県内においても、国道、県道、市道で閉鎖、冬期閉鎖と追いやられているものは、多数存在する。
今後人口減少に伴い、さらに支障をきたす公共物は確実に増える。
サビにより腐食した橋梁の鉄筋
http://www.nakabohtec.co.jp/jigyo/saltdamageInvestigation.html 引用
また、「氷見市まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、今後9.3億円のインフラ維持において、
赤字が見込まれることを危惧しているが、具体的な改善策は先送りのように懸念する。
引用;https://www.city.himi.toyama.jp/hp/…/file/kokyo-hoshin-1.pdf
【農林業の施設・設備】
ライフラインに限らず、農林業においても問題は、深刻だ。
これまで、行政主導のもと、米を精米貯蔵するカントリーエレベーターや大規模特産物を作り
出荷場や6次産業化施設など様々な施設・設備が作られてきた。
これらの施設・設備においても同様に経年劣化となることが想定されるが、
携わる人の高齢化、海外や他地域との価格競争、消費者のニーズ離れ等により、
生産者の減少、施設の閉鎖などの問題が生じている。
国としては、生産者の高齢化、担い手不足の対応策として、
大型機械の導入による効率アップや、基盤整備をおこなって大型圃場にするなどの合理化が推進されている。
そのため、これまで小規模な農家や団体でも認められていた助成金補助金制度がなくなり、
大型営農組織優先するように政策が転換されているように感じる。
米を貯蔵するカントリーエレベーター googleより
【仏生寺椎茸生産組合の修繕取り組みより】
小さな生産者、団体の現状として、私が携わった仏生寺椎茸生産組合についてお話したい。
平成初期に建てられた椎茸用の鉄骨ハウス。
国税庁が定めた減価償却期間は、14年。
もうすでに耐用年数は経過しているが、丁寧に使っておられたので、25年以上維持管理されてきた。
しかし、昨年の大雪でついに屋根が持ちこたえられず破れた。
冒頭で述べたように、今修繕を行いたくても若い担い手が不足して、
直すことが出来ない施設設備は、日本国内にも多数あるように感じる。
いつも述べることだが、地域おこし協力隊の意義として、
このような地域に入って、活動する意義は大きくあると思われるが、
それを行っている地域おこし協力隊を採用している行政は、少ない。
話を戻して、
今回の屋根修繕は、この鉄骨ハウスが設置されたから、初めての大掛かりな修繕作業
片側 幅4.3m×長さ36mある鉄骨ハウスの屋根は、
1日目にガイドレール取り外しと新しいビニールシート仮張り
2日目にビニールシート設置を行った。
しかし、ボルトの数が多く、全体作業は、8割程度で終了
残りは、後日行うこととした。
今回2日かけて、2名の若者が応援してくれた。
二人ともビニールハウスの修繕作業は初めてだったらしいが、
やることが全て新鮮であり、楽しんでくれた。
また、椎茸の親分の話も新鮮で面白く、
普段こういう職人気質の人と触れ合うことが少ない若者にとって
すごくプラスになったと思う。
雪の重みで敗れたシート 抑えのガイドレールをインパクトドライバーで取り外し作業中
10時と3時の休憩に親方からお茶の提供
少しの時間に親方の経験話は、若い人には、貴重な体験
十分安全面に注意し、焦らず確実に作業を行った
【まとめ・土木と農業】
公共工事と同様に、これから農村で働く若者たち
地域にある設備は、耐用年数が経過しているものが多いのでその修繕する知恵と技術を習得する
覚悟がなければならない。(こう書くと重いけど、重く難じないで欲しい)
耐用年数が経過したものを使い続けるためには、知恵と工夫が必要。
では、どうしたらよいか?
私自身冒頭で述べた通り、土木のエンジニア出身。
農業希望の若者が多数いることはうれしいが、都会で建設関係に従事したものが農作業を志すものは、少ない。
私の知る限り、肉体労働とは程遠い、サービス業などの3次産業出身者が農村での移住を志しているように見受けられる。
そのために、土木作業(鳶、土工、鉄筋工、造園工、コンクリート工、大工、電気工等)
に携わる機会を多くもつことを推奨する。
毎日で無くてもかまわない。たまに地域の小さな工務店のお手伝いでもよい。
農閑期に土木業でのアルバイトでもよい。
是非、嫌がらずに土木業に触れ、そこで仕事をされている職人のおっちゃんたちに学んでほしい。
おっちゃんたちは、口は悪い人もいるが、根はやさしい。そして純朴である。
だから、叱るときは、叱るし、叱らないと怪我や事故につながる。
そうやって、叱られなれてくることでも自分自身の精神面も鍛えられる。
かつての土木作業員は、農村からの出稼ぎの人々も多く、
その方々の知恵があって今日の日本の土木工事が行われてきたと言ってもよいと思う。
土木と農業、通じるものが多数あり、農閑期に土木工事業でのアルバイトは、
農業に役経つことが沢山あるので、是非経験して欲しい。