250万を稼ぐ/中山間地域担い手モデル事業

     

日本全国で中山間地域の担い手不足が深刻な問題になっている。

その背景として、中山間地域での農業は、

儲からない!

に尽きる

その結果、息子や孫は、街中に転居し農業の手伝いはするが、専業農家にはならない。農地は、年々耕作放棄地になっていく。
このような人の空洞化、土地の空洞化が深刻な問題となっていて、農林水産省や西日本の地域では、様々な取り組みが行われている。

富山県においても、中山間地域の人口減少は、深刻な問題になっているが、なかなか問題解決になっていない。

新たな担い手づくりにおいての行政支援は、皆無のように感じる。

 

中山間地域の農業が儲からない理由

平地部の農業と比べ、圃場面積が狭く、効率が悪い。

例えば、

 

農作業効率が不平等

草刈りにしても、平野部なら1時間で20ha程度出来るのに対し、

中山間地域では0.2ha程度しかできない。なぜなら、平野部は、畔の幅が狭く平坦。しかし、中山間地域の畔は、急斜面でしかも、距離が長い!

中山間地域の畔の草刈り 距離が長く急こう配 
仮払い機で3回から5回行われるし、斜面を歩くのに高齢者には厳しい 

 

平野部の田んぼ 畔幅が1m程度で仮払い機1回で済む
または、畔がコンクリートで仕切られている場合もある

 

 

移動アクセスの悪さ

中山間地域の農地は、山と山の間にある河川の平野部を利用して作られる場合もあるが、中には、山腹を削って築き上げた場所もある。

そのような場所にある農地は、農業従事者の高齢化とともに止めてしまい耕作放棄地となっている場合が多くある。

 

幅1m程度の急斜面 尾根を利用しているので、普通に歩くにもロープがないと厳しい坂道
資機材運搬は、キャリーカーであり、軽トラックでの搬入出が出来ない

 

冬が長い

中山間地域は、自然豊かで日本の原風景が残るので、観光客としては、癒しの空間である。

そこに住む家の薪ストーブをみては、感動をする

しかし、そこに暮らす人々にとって冬は、厳しい季節である。

屋根雪おろし、上水道が完備されていない場合も多く、井戸は良いが、多くは綺麗な沢の水を利用している。

その場合、冬の時期でもゴミがたまるため、沢の水の管理をしなければならない。

また、屋根雪おろしなどの作業が繁茂に行われている。

そのような雪の多い場所でビニールハウスを残しておくと、雪の重さにつぶされてしまう。

だから中山間地域では、毎年春にビニールハウスを組み立て、秋には撤収する作業が行われており、ハウス栽培に適していない

豪雪地帯の屋根の雪おろし(雪すかし)

 

 

中山間地域で、誰もが人並に暮らせる年収算出  

中山間地域に移住してきて、自給自足に近い生活を送っている諸先輩方から聞き取り調査を行った結果、

年収200万円ほどあれば暮らせるが、

子供の養育を考えると最低+50万円が必要になってくるとおっしゃっていた

国税庁の民間給与実態統計調査によると

平成28年年収200万円以下の

男性;10.5%

女性;41.6%

合計;23.3%に達する

 

 

場合によっては、都会より 

  • 家賃が安い(信頼関係が築ければタダ同然)
    東京都心での3DK70m2家賃を12万円と想定した場合、
    田舎での賃貸価格相場1万円(固定資産税分+α)で差額が12-1=11×12ヵ月=132万円もお得!
  • 食費が少ない(家庭菜園+自然の山菜が豊富)
    東京都区分での食糧費9.3万円(2016年総務省家計調査より)に対して、田舎での食費3万円(ヒアリング調査)
    を考えると9-3=6万円×12ヵ月=72万円
  • 余暇の質が変わり、娯楽費が少なくなる場合がある

こう考えると、都会での収入があっても支出も多くなり、

家賃と食費だけでも132万円+72万円=204万円もお安くなる計算になる

首都圏で低い年収で暮らすより 田舎で年収250万円での生活が可能であるならば、

都会の年収250万円+204万円≒450万円の収入と同等の暮らしと変わらない計算になる

(あくまでも机上理論、

養育費・医療費については考慮していませんが、田舎の行政では、中学まで医療費免除や学費免除等のサービスがある行政もある)

 

 

中山間地域で年収250万円の稼ぎ方(標準モデルケース)

じゃあ、どうすればよいのか?

単純に、250万円÷300日=8,333円/日稼ぐことになる。

1日8333円を8時間労働を割ると 8333÷8h=1,041円

1日8500円、時給1000円の稼ぎがあれば暮らせる

300日農業、米や野菜の販売は、非常に難しい。

だから、これから中山間地域で暮らしていくには、農業+α (α=他で稼げる仕組み・技術)

農業とそれ以外の副業のことを、今どきの言葉で、半農半X (幸せ経済社会研究所 塩見直樹)が大事なキーワードになっていく

都会から中山間地域に移住・定住するときに、いかに自分にスキルがあるかによって、Xの選択肢の幅が広がる

また、選択が1つでも専門特化していれば副業としてなりたつ

 

そこで、私自身がモデルケースとなって試行錯誤を繰り返している

地域おこし協力隊の3年間は、その試行錯誤と地域との関係構築の連続であった

結果、中山間地域(農村)での収入づくりプランとして

  • 農業で100万円 
    米や野菜の販売 月8万円(個人生産だけで月8万円は、厳しいが地域の人々の生産物も含めて、ブランド化を行って販売)
    ※ブランド化、速川のサツマイモ、稲積の梅、脇之谷内のお米や漬物 で実証中

脇之谷内の米をブランド化

 

  • WEBディレクターとして2件受注保守サービス30万円
    web・ホームページ制作で相場30万円以上、誰よりも情報発信に特化し実際に受注した企業・団体の実績がアップしている
    地域に密着したことにより、顧客からの口コミ等で受注を獲得しています
    また、製作よりも大事なのが、運用サポート
    他のWEB会社がやならないことを地域密着で出来るのも私自身田舎暮らしの強み
    ※現在保守サービス2件運用中

 

  • 広告代理店業で20万円
    今も年間10本程度行っている都市農村交流体験事業 
    これ自体での収入は人件費程度であるが、その後チラシ製作やイベントプランナーとして収入が入る仕組みを構築中

協力隊時代に構築した地域の冊子、パンフレット制作

 

  • 地域サポート支援60万円
    地域サポート 草刈り、雪下ろし、高齢者のサポートなどで 1500円×4時間×2日×4週/月=48000円
    48000円×12か月=576000円
    これが、意外に受注が多い。田舎での依頼は、さすがに1500円は、もらえない(顧客が未収入の高齢者)が 、
    都市部での何でも屋の場合、1500円+必要経費でのアルバイト・なんでも屋は、成立している
       

大工の手元 手伝い

 

  • 農村観光・農家民泊40万円
    農家民泊については、現在活動していないが、来年以降予定している。
    顧客は、田舎暮らしを希望する対象者や地域活性化を学びにくる人

    1月4名程度を2回受入れ
    宿泊費3000円×4名×2回×12ヵ月≒28万円
    オプションサービス(セミナー・ワークショップ等)12万円

2017年12月 都市農村交流事業 脇之谷内キムチ教室

 

地域が豊かに、都市部との交流・ファンづくり

これらの顧客を確保するためにも情報発信と、これからも氷見市の中山間地域が賑わい、地域がもっと豊かになり
その恩恵を受けられるような事業展開をしなければならない

また、私自身は、様々な視野を選択肢にしているので、どれも中途半端なように思えるが、新たな移住・定住希望者は、この中から

または、別のことで専門特化して150万円(農業以外の生業)を確保できるように取り組んでいただきたい

新たな移住・定住を希望する人々が、農業で規模を拡大、WEB・ホームページ等の保守顧客拡大、農家民泊での宿泊日数を増加(今の民泊法では、年間120日まで可能なので、24日で想定している私のプランよりもさらに年収アップが見込める)

 

大事なのは、自分1人だけが儲けるのではなく、まずは地域が豊かになること

また、自分と同じように新たな移住・定住希望者もハードルを高くせずに取り組める仕事を作る事だと感じている

今、全国の中山間地域や田舎で活躍している人々の多くは、他より抜きんでていて専門特化に従事している

だから、同じ地域でその抜きんでた人と同じようなライバルは存在しないし、存在出来ない

けど、本当にこれからの中山間地域・田舎を維持していくには、皆が協力し、皆が同じように稼げる仕組みを作らなければならないと感じている

2016年3月 地域のばあちゃんが先生として活躍した藁細工体験

収入アップもよいが、都市住民がほめることで、地域の人々の誇りの取り戻しに寄与した

 

行政支援

数値的には、上記のように描けるが

実際に行ってみると試行錯誤の連続、ハードルが高いものが多数ある

富山県内の行政や議員の方々が、ハード面だけを強化する動きがあるが、もっとソフト面・特に

人づくり

に関しても、支援して欲しいと切実に願う

今富山県内において、人づくりは、すべて地域に丸投げ

他地域を知らない・知る情報量が少ない県民性の中で、人づくりが出来ず、

移住・定住者を受け入れる仕組みが出来ずに疲弊・衰退している地域が多数目立つ現実がある

地域支援員という制度があるが、西日本の行政職員の活動を見ていると残念ながら富山県内の行政職員の活動は劣るものがある。

もっと地域の幅広い分野を見て、地域支援で本当に必要なものとは何か、地域の人づくりに支援願いたい

 

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