地域の人々の協力・応援があってのせっかくウオークin臼ヶ峰往来/イベント企画の裏話

     
氷見市では、富山県で唯一日本ウオーキング協会認定のウオーキング大会:『氷見キトキトウオーキング』が毎年開催(2017年時点で14回目)され、全国各地から1000人以上の参加者が訪れる一大イベントがあります。   【はじめに せっかくウオークin臼ヶ峰往来について】 氷見市では、キトキトウオーキングの前日にも、より氷見の良さを知ってもらおうと、2016年より、前日のプレイベントとして、 「せっかくウオークin臼ヶ峰往来(うすがみねおうらい)を開催しています。 「臼ヶ峰往来」は、文部科学省認定の歴史の道百選(富山県では2か所のみ)の古道であり、石川県宝達志水町所司原から氷見市速川地区までの道です。 「せっかくウオークin臼ヶ峰往来(以下せっかくウオーク)」は、2016年に氷見キトキトウオーキング実行委員会より速川地区自治振興委員会が、委託され、そのコース設定・ウオーキング内容を私(氷見市地域おこし協力隊稲垣信志)が企画担当したものです。 せっかくウオークiには、2017年も青森や大阪など県内外から20名の方が参加しました。 171020_せっかくウオーク(174)

せっかくウオークin臼ヶ峰往来 参加者の皆さんとおもてなしをした速川地区の皆さんと記念撮影

せっかくウオークの詳細内容は、下記ブログでね

石川・富山を縦走/一風変わったウォーキング(せっかくウオーク・キトキトウオーク) /blog/15402

  【裏話・下草刈り】 本企画を行うにあたり、所司原・速川地区住民合同作業の舞台裏を少しだけお話します。 宝達志水町には万葉和歌50基あまりの歌碑があります。故山口克人氏が、歴史文化のある臼ヶ峰往来をもっとより多くの人たちに訪れて知って欲しいという思いから、私費を投じて建立したものです。しかし、山口氏が故人となった後は、放置されたままでした。 160623_石仏(109)圧縮

雑草に覆われた歌碑

 そんな歌碑を、本せっかくウオークin臼ヶ峰往来で、復活させようと、速川地区の廣田実氏(臼ヶ峰往来保存会会長)が音頭を取り、県をまたいで石川県宝達志水町所司原区長に相談を持ちかけてウオーキングイベントが行われました。 161022_せっかくウオーク(140)

手前 臼ヶ峰往来保存会会長 廣田実さん

  所司原地区でも、過疎化が進んでいる地域です。だが地域活性化の為にと、速川地区の提案に同意して頂き、合同草刈りが行われました。 171012_所司原草刈り(113)圧縮

所司原地区での草刈りの様子

速川地区とは、小学校校下の9つの集落の集合体です。速川地区では、集落の垣根を越えて、様々な事業やイベントが行われています。 今回も、臼ヶ峰往来の草刈りをやるぞ!と言って、10名近くの人が集まってきてくれました。 誰かが地域振興のために音頭を取り、そこに人が集まる。 このような地域は、富山県内でも少なく、本当に素晴らしい地域です。 所司原・速川地区合同草刈りを行って 「草葉の陰から山口さんも喜んどっちゃ。」 とにこやか地域の人々が語られたのが胸に染み、郷土愛にあふれ歴史と自然を重んじる所司原・速川地区の皆さま方に対し改めて敬意を払います。 171012_所司原草刈り(121)圧縮

下草刈りに参加して下さった所司原・速川地区の皆さん

161009_所司原草刈り (125)圧縮

下草刈り後の歌碑群

【その他応援・協力】

せっかくウオークin臼ヶ峰往来 今回は、草刈りのことについて記述しましたが、その他にも多くの人々が応援・協力してくださっています。

 山頂でのおやつ提供に、所司原地区のお母さんたちのクサギの煮物。速川活性化協議会おもてなし部会のサツマイモチップス、芋のかりん糖、ヤーコン茶

 藁工房床鍋で、プチ藁細工体験や参加者へのお土産のミニチア藁草履

 旅行業法等の助言アドバイスで氷見市観光協会 様

 宿泊協力で、ひみ活性化サークルRYU 様

 バスでの配送で、西部観光株式会社 様

 また、本事業のイベント告知等に協力してくださった 富山新聞社をはじめ、多くの方々。

 本当に多くの皆さまに協力・支援を頂き、本事業を無事終えることが出来ました。

【事業収支】

 本事業において、収入188,662円 支出188,662円 でした。

 私個人の協力隊活動費(22,122円)や市の助成金10万円の収入があって、事業が成立しています。今後は、同時期に2~3回行えるようなプランになれたら、採算ベースになり得るよう検討中です。

 今回も携わった人に対し、気持ち程度の支払い(謝金)で、適正価格を支払えていませんが、速川自治振興員会を始め、上記応援・協力してくださった方々にこの場を借りて改めてお礼申し上げます。

せっかくウオーク事業収支報告(案)

17_収支(案)

【おわりに】

 地域おこし協力隊という制度で、隊員が地域に新しいものを創り出すことに行政は推奨しているように感じる。

 このような場合、地域の人々が主役ではなく、地域おこし協力隊の無償ボランティアになりかねない。また、地域の人々がまったく不在の場合も多い。全国の地域おこし協力隊失敗事例として、協力隊だけで行うゲストハウスや外部の若者向けのイベント、などがある。 ゲストハウスの場合、収入は協力隊だけのものになり、地域にお金が落ちる仕組みがない。また、外部の若者向けイベントなどを行っても地域との連携がなければ、地域の人々からは、

「自分たちの住んでいる場所で、騒いで迷惑だ!」

とも言われ、時と場合によっては、妨害等もある。 1~2年は、なんとかなるものの、その後結局地域を離れ去っていく。地域に溶け込めない壁を作っているのは、協力隊を含め新たに入ってきた移住者のほうであり、地域側の目線に立つことを理解することが出来ていない場合が多い。

 行政は、地域を見ているようで見えていない部分もある。だから、地域おこし協力隊員と地域住民の空気感などを把握出来ている職員は少なくフォローされていない。また、地域住民との亀裂がある場合に気付いた時には後の祭りであり、協力隊員が地域に根付かなく去っていく。

 富山県においても、協力隊隊員が、任期終了後に残る比率が3割程度で、全国の定住率6割よりさらに低いのは、このあたりのフォローが足りない部分があるのかもしれない。

 私は、協力隊自身が新たな事業を立ち上げることよりも、今まだあった地域資源を再構築するほうに活動を重んじている。協力隊になる前の経験上、まったく新しいことをしても、地域の人々は馴染めないし、生活リズムも崩れてしまう。それより、自分たちが今まで行ってきたものに、変化を加えることで、地域資源をより研いだものに出来るし、地域からの協力支援を受けやすい。

 なにより、地域の人たちは、自分たちが行ってきたことを更によいものにしてくれているという意識になるからだ。

 隊員退任後も、このようなスタンスで地域に貢献し、豊かに暮らせる地域づくりにまい進していきたい。

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