2017/10/28
消費者は、あまり気付かないというより、知られていない。営農組合脇之谷内での最後の工程、脱穀、乾燥、籾の選別。実は、小さな組織だから出来る丁寧な仕事がされている。
【脱穀】
収獲した稲を茎から籾を落とす作業 。稲扱き (いねこき) とも言われている。
コンバインでは、刈り取りと籾落としまでを一連の作業で行われる。
【選別】
かつては、収穫した籾を脱穀した後、籾殻や藁屑を風によって選別する唐箕によって作業されたり籾のサイズの大小を選別する作業。
【籾摺り】
籾から籾殻を取り除いて玄米に仕上げる作業。
【はさ掛け農法の素晴らしさ】
天日干しの場合、はさ掛け、脱穀、選別、籾摺りの順に行われきた。
【こだわり その1:乾燥単位】
大型カントリーでは、水分量が多いお米や少ないお米さまざまなお米が一度に大量に処理されるため、品質がまちまちになってしまう可能性が高い。
その点、脇之谷内営農では、各圃場にあわせたお米の状態に応じて、乾燥機で乾燥を行われている。
だから、お米の品質が安定して一定する、大型カントリーで処理されるお米との違い、手間ひまかけたこだわりの1つ目。
【こだわり その2:乾燥方法】
次に、乾燥機に入れた籾は、いきなりの加熱ボイラーをすることをしない。
初めは、送風だけによる乾燥でお米の水分量を飛ばす。送風だけで乾燥させ、お米に対して優しい乾燥方法を行っている。
大型の営農の場合、短時間で大量生産をする必要があるため、短時間で籾摺りまで行うには、いきなり加熱ボイラーをかけざるえないが、胴割れをするリスクも大きくなる。
はさ掛けにおいて、秋の長雨が多く湿気が高い条件が続けば、籾にカビが生えたり、発芽したりして商品価値にならない場合もありうる。だから熟練された農家さんのはさ掛け米は高く手間ひまがかかっていて素晴らしい。
脇之谷内営農では、はさ掛けは行われていないが、お米の品質を損なわないよう、直接加熱送風をせず、まずは送風のみで乾燥させ、その後に加熱乾燥に切り替え通常よりも多くの時間を要した手間ひまをかけている。
脇之谷内営農のような手間ひまかけた取り組みをされている農家さんは少なく、その特別な手間ひまをかけていたことを自己主張することなく、今まで淡々と作られてきたいことに敬意を表したい。
お米にかける脇之谷内営農の手間ひまかけたこだわりの2つ目。
【こだわり その3:籾摺り】
乾燥した籾は、籾摺り機によって、籾と玄米に別けられ、さらに一定の大きさに選別されたものだけを玄米として30kg入りの米袋で仕分けされる。
通常の個人農家の場合、籾摺り機だけで1回されるが、脇之谷内営農では、籾摺り機による選別を2回、小規模農家では、高額すぎて購入しずらい色選別機械で1回行い、籾と玄米を選別している。
このような手間ひまをかけて、脇之谷内営農のお米は、外部による農産物検査員に検査をしていただき、常に1等米の品質を確保しているこだわりの3つ目。
はさ掛けの様子
はさ掛けにしたお米は、湿度が高すぎると、籾の状態で芽を出してしまったり、カビがはえたりする。
また、はさ掛けで乾燥させすぎると米割れがおこって味の低下にも繋がりかねない。 これらを何度も失敗しながら熟知された農家さんは、本当に素晴らしく、手間ひまかけた美味しいお米を作っているので価格が通常の2倍になってもおかしくない。 脱サラして、直ぐにはさ掛け米に挑む人には、かなり高いハードルであり、米作りを始めて数年でこのような熟練された技を習得するのは厳しく(1年に1回しか試せない)、プロの農家でも失敗することがあるので、一概にはさ掛け米が美味しくなるとは限らない。 【脇之谷内営農の3つのこだわり】 脇之谷内営農では、通常の米作りで行われる脱穀から籾摺りまでの作業工程で行われているが、小規模の営農組合であるからこそ出来て、他の営農組合では行われていない3つのこだわり、手間ひまがある。脇之谷内営農 | 一般的な作業 | |
乾燥単位 | 小規模で圃場毎に調整され、良質な品質を確保 | 大型機械で大量に行われ、米の状態が不均一 |
乾燥方法 | 空気だけの送風乾燥を実施し、はさ掛けに近い状態を作る | 始めから加熱ボイラーで行い胴割れが起こり易い |
籾摺り | 籾摺り→色選別→籾摺り と他の組織より多くの工程を行い良質な品質を確保 | 小さな個人農家では、籾摺りのみ 大きな営農では、籾摺りと色選別を1回 |
選別、籾摺りの様子 選別機1台、選別計量機2台、光選別機1台で品質のよい1等米を生産
小さな農家、営農組合には珍しい光選別機
【生産者となって】
脇之谷内でのお米の全体生産高は、僅か4トンほどしか満たない貴重なお米。
30kgの米袋にしたら140袋前後。ほとんどが、自家消費であり、一部市場に出荷も氷見市農協と某米店のみで、ほとんど市場に出回っていない。
本ブログファンで、筆者と面識のある方がいれば、
氷見漁港場外市場ひみ番屋街みのりの番屋
富山県内各地の そよかぜ農産物直売所
で、販売中。
脇之谷内のお米(コシヒカリ・てんたかく)
今回は、私が生産した脇之谷内のお米ですが、今でもはさがけで行われて自家消費米や街中と同等の金額で販売され手間ひまのコストが計上されていないお米が多く存在します。
今後氷見の他の中山間地域における米づくりの情報発信も行い、氷見米の品質向上、生産者の安定収入に繋げていきたいです。