2021/08/23
本日は、消費者が気にする農薬=一斉防除のお話。
みなさん、頭ごなしに農薬のことを反対といいますが、
昔の農薬とまったく違う、
地域には昆虫や鳥などが以前のように戻ってきている。
脇之谷内でも過去は、個々の農家さんが田んぼを見回って、散布していたが、
高齢化、兼業農家が増え、今は、脇之谷内営農組合で行われている。
他の大規模な圃場面積を有する場所では、
ドローンやヘリコプターなどで撒いている地域もある。
氷見の平野部では、圃場面積が大きくラジコンヘリで散布している場所もある
脇之谷内は、集落全体でも8haの圃場しかなく、
1枚あたりの田んぼの面積も1反=10a(31m×31m=991m2)前後の棚田であり
四角形の圃場は少なく、中山間地域の地形にそった曲線系の圃場も少なくない。
だから、脇之谷内での一斉防除の方法は、手動の散布機で、2人1組となって、
1枚1枚の田んぼを最小限の適正な農薬散布を
丁寧な手作業で行われている。
毎回私は、重さ10kg近くある散布機を担いで撒く担当を任されている。
手間ひまかけた米作りで、脇之谷内の田んぼや周辺には、
今でもカエルや蛍やタニシなど多様な生物が生息し、豊かな自然環境を保持している。
脇之谷内の棚田
集落一斉防除とは
稲などの作物は、
育成中に病気(ウンカ類、ツマグロヨコバイ、いもち病)にかかったり、
害虫(カメムシ)被害にあうことがある。
殺菌剤や殺虫剤の成分が入った農薬を、地域(集落)ごとに日取りを決めて散布し、
地域(集落)の病害虫を一斉に駆除する作業が
集落一斉防除
7月上旬に配布された通知案内(過去のものH28)
一斉防除は、2回。
中山間地域である脇之谷内では、稲穂の育成が、平地よりも遅く、
一般的には、通知書より1週間遅れて行われている。(H30日程)
- テンタカク:1回目(7月28日)、2回目(8月4日)
- コシヒカリ:1回目(8月4日)、2回目(8月11日)
1回目:ビームスタークル(普通物)
2回目:ラブサイドキラップ(普通物)
メーカー推奨の使用量は、1反(10a)あたり3~4kg散布。
脇之谷内営農組合では、最小基準量の3kgで農薬管理を行っている。
かつて日本の米づくりでは、毒薬や劇薬が使われていたようだが、
今は、農水省の厳しい指導のもと、普通薬に代わり、研究・開発されている。
現に、脇之谷内の田んぼでは、タニシやカエル、ヒルなどが存在し、サギやカモが、餌を求め訪れる。
田んぼの排水が流れる仏生寺川は、生息し、乱舞する。
かつての農薬では少なくなったが、蛍が戻ってきたのも、農薬が普通薬に代わり、農業技術が上がったことが大きい。
散布器に投入の様子
防除剤散布状況
散布機に農薬を入れ、透明のビニールホースで散布。
風向き、農薬の量、散布機の角度など調整などを行い、丁寧に1枚1枚の田んぼに均一に撒いていく。
一斉防除をしないと、カメムシが稲穂の汁を吸うと、その米が黒いお米になる。
お米の中に、カメムシが吸った黒い色のついたお米が含まれると、
等級が落ちて買取り価格が下がり、生産農家の収入が減ってってしまう。
例えば、
白いお米の中に黒いお米が 0.1%混じる(1000粒に1粒)までなら一等米
0.2%混じる(1000粒に2粒)と2等米
0.3%以上(1000粒に3粒)になったら三等米 にされてしまいます。
お米の評価が一級下がると60kgで約千円も価格が下がります。
これは農家さんにとって、ものすごい経済的損失なので、カメムシを除去するのに農薬が使われる。